ビワガニ類のZoea

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このゾエア、非常に奇妙な、というか、かわいらしい形をしています。

顔つきや、尾節(尾の先の部分)の形はアサヒガニのゾエアなのですが、背棘と側棘がすこぶる長く、その先がヘラ状(もしかしたら羽毛状かな?)をしています。側棘なんてまるでおさげ髪です(笑)

調べてみたところ、ビワガニ類 Lyreidus のゾエアであることがわかりました。

2008年3月に鹿児島周辺で採集されたプランクトン試料中に数個体入っていたのですが、この変わった形と、その大きさから、かなり目につきました。この年はビワガニの産卵ラッシュだったのでしょうか?


ビワガニ類は日本近海から3種知られているようですが、このうちゾエアの報告があるのはビワガニLyreidus tridentatus De Haan, 1841のみです。海外の研究事例のようで、6期のゾエアとメガロパ、稚ガニが報告されています。

このビワガニのゾエア、「日本産海洋プランクトン検索図説」には掲載されていません。この図鑑の甲殻類幼生を分筆された小西博士は、後に補足的な報告をされていて、このなかで紹介されています。





[参考文献]
1)小西光一.1997.節足動物門(幼生).In千原光雄・村野正昭編,日本産海洋プランクトン検索図説.pp.1439-1479.東海大学出版会,東京.
2)小西光一・鹿谷法一.2000.日本産有用カニ類幼生の検索 III:短異尾下目.養殖研報,30:39-54.
3)村岡健作・小西光一.1988.日本産十脚甲殻類幼生の文献目録/短尾類(1).海洋と生物,55:124-127.