コスジエボシ

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コスジエボシConchoderma virgatum hunteri (Owen, 1830)と思います。
小三郎Jrさんから頂きました。大感謝です。
学生のころから見てみたかった甲殻類です。ほぼ四半世紀の夢がかないました(努力しなすぎ?)

ガザミに付いていたとのことです。ガザミのどこですか? 産地は??

分類学的位置については検討が必要かも知れません。
この学名は、スジエボシConchoderma virgatum (Spengler, 1790)の亜種としての位置づけですが、web上のデータベースWoRMSでは、この亜種は種に昇格されていて、しかもスジエボシのシノニムに位置づけられています。Web情報は文献あたって確認しなくてはなりませんが、この見解のみを見れば、亜種が破棄され、スジエボシに統合されたと見るべきです。情報収集して、追って加筆します。

ということで、今年も残すとこ、、、ですが、いまだ甲殻類熱さめやらぬデス。
みなさま、よいお年をお迎えください(ってはやすぎか??)

●=-・―=● 加筆 2014.10.27 ●=-・―=●=-・―=●=-・―=●
一年近くたってからの加筆です(汗)
まずは小三郎Jrさんのコメントを本文に吸収:
●スジエボシはマンボウに寄生したペンネラに着生しているのを何回もみています。コスジエボシはガザミの甲羅とアオウミガメの腹部に着生。蔓脚が異なるし別物では。
その後、小三郎Jrさまからは、文献、大和ほか(2012)を送っていただきました。感謝です。
この論文中で、スジエボシとコスジエボシは別種であることが触れられていて、ミトコンドリア18Sリボゾーム遺伝子の塩基配列にも違いがみられるという文献(Yusaほか, 2012)を引用されています。
 なお文献タイトルにある「ウガ」ってのはセグロウミヘビのことで、このほかこの論文の第1著者の大和博士はエラブウミヘビにスジエボシとコスジエボシの両方が付着することを確認されているそうです(その論文未収集)。

最近FaceBookのサイトで海洋生物の情報交換をさせていただいています。
おそらく、そちらの情報はすぐに埋もれてしまうでしょうから、ブログに記させていただきます。スジエボシのほうの情報です。
●KYさんは三浦の定置網に入る魚を観察されているそうですが、入網するマンボウについてるペンネラ(ヒジキムシ類)によくスジエボシがついているそうです。すっごく興味深い写真を見せていただきましたが、転載させていただけないかなぁ~
マンボウ自体の漁獲もまれだとは思うのですが(三重県水産研究所・おさかな雑録, 67, 2012)、なおかつ、「一網に複数のマンボウが入っていた場合でも、まったく付いていないこともあれば、全部に付いていることもあります。また、全く見られない年もありますし、何とも言えません。」といった状態だそうです。
 また、三浦の定置網で漁獲されたホソトビウオの腹部に寄生していたウオノエの仲間?に付着していたスジエボシっていう、驚きのお写真もお持ちです。よだれ出ます。こちらの標本は横須賀の収蔵庫の奥に眠っているんじゃないかとのこと。
●MIさんによれば、スジエボシはトビウオの胸鰭先端に直接付着することもあるそうです。KYさんの経験では、マンボウへは直接付着はみられないようです。
●KYさん、MIさんから関連情報を紹介いただきましたので、リンクはっときます。

いやぁ~ 実に興味深い生物です。スジエボシもペンネラも。情報収集は続けて生きたいと思います。


【文献】
大和茂之・遊佐陽一・田名瀬英朋.2012.南方熊楠の「ウガ」の標本について.南紀生物,54(1):1-4.

【関連サイト】
三重県水産研究所.2012.マンボウ.おさかな雑録, 67 http://www.mpstpc.pref.mie.lg.jp/SUI/zatsuroku/120502.htm
岡本 満.2011.日本海南西部島根県沖で漁獲された魚介類に確認された寄生虫.島根水技セ研報,3:55-68. http://www.pref.shimane.lg.jp/suigi/publish/kenkyuhou/016/index.data/08kiseicyu.pdf
桃山和夫・天社こずえ.2006.山口県沿岸域および湖沼河川で採集された異様な外観を里する天然魚介類の寄生虫およびその他の異常.Bull. Yamaguchi Pref. Fish. Res. Ctr., 4:143-161.  http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/pref/yamaguchi/kenpo/4/pdf/143-161.pdf