ウオノエ科等脚類に関する非常に重要な論文が公表されています。
Hataほか(2017)。
愛媛大学の研究グループのようです。Netでもよく試料を探されているのを拝見していました。
日本国内外のウオノエ類29種について、ミトコンドリア16S rRNAとCOIの分析から系統関係を研究されたようです。宿主は59魚種とのことです。
英語の難しい論文なので、精読して、追って加筆します。
プレリリースがwebにアップされています:
ちょっとだけ引用させていただくと、本論文の最大の成果は3点あり、
(1)深海に生息するウナギ目魚類に寄生するウオノエのグループが、最も古くに分岐したこと(ホラアナゴノエのことのようです)
(2)淡水魚に寄生するグループは、進化史の初期に南米大陸へと、比較的最近にはアフリカ大陸へと、別々の時期に独立に淡水へ侵出したこと
(3)エラ内に寄生するグループが最も古くに分岐し、続いて、口や腹内、体表に寄生するグループが次々と分化してきたとのことです。
本当に非常に興味深い論文です。きちんと読んで、追って加筆します。(って2回も書いちゃったよ!)
<論 文>
Hata, H., Sogabe, A., Tada, S., Nishimoto, R., Nakano, R.,Kohya, N., Takeshima, H., & Kawanishi, R. 2017. Molecular phylogeny ofobligate fish parasites of the family Cymothoidae (Isopoda, Crustacea):evolution of the attachment mode to host fish and the habitat shift from salinewater to freshwater. Marine Biology,164: 105. (論文和訳名:魚類に寄生するウオノエ科等脚類の分子系統:寄生様式の進化と海から淡水域への侵出)