続報・リザリア ライダー

 

リザリアライダーの続報が、日本甲殻類学会の学会誌 Crustacean Research に掲載されました。

そして、なんとその写真が学会誌の表紙に起用されてました。

 

リザリアライダーとは...

詳細は後程加筆します(謝)

 

関連情報、こちらもご参照ください。

リザリア・ライダー - Nob!!の勝手に甲殻類 ~ミジンコからタカアシガニまで~(その2)

 

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2022.12.21加筆

“リザリア・ライダー”というのは、甲殻類とリザリア類の共生関係についての呼称で、仲村博士らによって命名されたものです(Nakamura et al., 2019)。

リザリアっていうのは、放散虫とフェオダリアが所属する分類階級。放散虫とフェオダリアって何かっていうと、海産原生動物のグループ。じゃあアメーバなの?って思う人いるかな? Nob!はその辺きちんと理解していないのですが、仲村博士に伺ったところ、「私も上手な説明できないのですが、星の砂の親戚ですって話すようにしています」とのことでした。

 

Nakamuraら(2019)では、端脚類のセムシウミノミPhronimopsis spinifera Claus, 1879とフェオダリア類のアミダマ属の一種Aulosphaera sp.の共生関係が、フィールド写真と標本観察結果にもとづき研究され、“リザリア・ライダー”現象は、端脚類がフェオダリア類と共生関係を持つことによって、中間浮力の獲得や餌資源の確保等の利益を受けているだろうと結論づけていました。

今回のSaitoら(2022)では、共生するアミダマ上にセムシウミノミの仔がのっかっている写真が紹介され、端脚類のメリットとして、リザリア上で子育てを行い、リザリアが個々に分散したときに同時に端脚類の仔も便乗して分布域を広げていくのではないかという考察をされていました。

体長3 mm程度の、ゴマ粒サイズのセムシウミノミと、海中に漂うホコリのようなアミダマとの、なんだかほんわかしたミクロな共生関係についての報告ですが、学術的には非常に貴重な発見で、今年の日本甲殻類学会誌Crustacean Researchの表紙を飾っております。そのミクロサイズの大発見となる写真を海中で撮影されたファンダイバーのKayamaさんもまた達人なのでしょうね。

 

Nob!の解説は、十分に理解できずにしているところもありますので、詳細は仲村博士の書かれた島根大学のプレリリースをご覧ください:

https://www.esrec.shimane-u.ac.jp/docs2/2022110200024/

 

 

<文献>

Nakamura, Y., Minemizu, R., & Saito, N., 2019. “Rhizarian rider” ― symbiosis between Phronimopsis spinifera Claus, 1879 (Amphipoda) and Aulosphaera sp. (Phaeodaria). Marine Biodiversity, 49(5): 2193–2195.

Saito, N., Kayama, A., & Nakamura, Y., 2022. First record of the maternal care behavior of a “rhizarian rider,” Phronimopsis spinifera Claus, 1879 (Amphipoda, Hyperiidea), in association with Aulosphaera sp. (Rhizaria, Cercozoa, Phaeodaria, Aulosphaeridae). Crustacean Research, 51: 111–113.

この文献はこちらからDLできます:

https://www.jstage.jst.go.jp/article/crustacea/51/0/51_111/_article/-char/en

 

 

 

なお、「リザリア」って、現在放映中の『仮面ライダーギーツ』の変身ベルト(?)の名前らしく、“リザリア・ライダー”でググるとライダー関連のサイトばかりがヒットします(笑)