リザリア・ライダー

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放散虫やフェオダリアが所属する原生動物の分類群をリザリア Rhizariaというそうなのですが、このたび、そのリザリアとクラゲノミ亜目端脚類との共生関係を報告した論文が発表されました。

 

この共生関係を“リザリア・ライダー Rhizarian rider”と命名しています。

 

リザリア類の研究者仲村博士と、水中写真家峯水氏、小型甲殻類研究家齋藤氏の共同研究のようです。

 

しかし、なんといってもそのビジュアルがかわいらしい!

Aulosphaera sp. (フェオダリア類)をもつセムシウミノミ Phronimopsis spinifera Claus, 1879はチアリーダーにしか見えず、

Collozoum pelagicum Haeckel, 1861 (放散虫)をもつクラゲノミ類 Hyperietta stephenseni Bowman, 1973は元気玉を構築中の悟空にしか見えません。

 

しかしこれ“ライダー”か? 乗ってないし。“リザリア・フォルダー”とかどうだろうか?

リザリアを持つことによって浮力調節しているのではないかと書かれているので、では思い切って“シー・メリーポピンズ”ってのは?

2~3mmの生き物の世界の共生関係なので、あまりぎょうぎょうしい名前もへんですかね。

 

画像はたぶん版権が絡むので控えます。紹介できるサイトがあったらリンクはります。

~~~加筆~~~

なんと、論文著者の一人、水中写真家の峯水さんから、画像を借用することができました! なんと懐が広いのか。感謝々々。

この個体は体長2.48 mmのメスです(論文に使われた写真とほぼ同じカット)。セムシウミノミは通常2~4個のフェオダリアを、第5~第7胸脚の小さなハサミで持っていますが、この個体は9個も抱えています!(このフェオダリアが、気をためたエネルギーみたいでかっこいい!!)

 

 

<文献>

Nakamura, Y, Minemizu, R., & Saito, N., 2019. “Rhizarian rider” ― symbiosis between Phronimopsis spinifera Claus, 1879 (Amphipoda) and Aulosphaera sp. (Phaeodaria). Marine Biodiversity, 49(5): 2193–2195. 

https://link.springer.com/article/10.1007/s12526-019-01002-5

甲殻類アレルギー

タピオカが黒いのって、イカ墨を使っているそうです。

そして、その黒いタピオカ入っている飲み物を、甲殻類アレルギー持ってるし人が飲むとアレルギー反応示すそうです。

 

先週の「世界一受けたい授業」で言っていました。

でも、イカは軟体動物で、甲殻類ではないというツッコミはありませんでした。

 

甲殻類ネタ(変化球ですが)なので、メモしときます。

アクセス数(はっぴー はろうぃん)

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はてなブログにはこんなサービスがあるのですね(20:15現在)。yahooブログにもあったのかな? なんちゃってブロガーなので、使い方よくわからず運営してます。

 

アクセス数の推移はなんか周期性がありそうですが、何の周期かよくわかりません。最多は10/2の28件だったようです。(小市民なので、なんかちょくちょくチェックしそうです・笑)

抱卵カラノイダ

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ネットプランクトンの分析に従事していると、このように卵塊をぶら下げた海産カラヌス目カイアシ類を見かけることはあまりありません。しいて言えばユーキータ科くらいでしょうか?

 

最近、かなり新鮮なプランクトンサンプルを扱う機会があり、このような個体に出会えました。しかも2個体も! プランクトン分析はサンプルを適度に分割しますので、割と多くこういう個体が含まれていたことになりそうです。

 

この個体はClausocalanus minor Sewell, 1929のメスです(スケールバーは500μm)。本種のメスは生殖節に粘液的な塊を付けた個体を見ることが多いので、それがこの卵塊と関係あるかもしれません。卵塊はご覧のようにブドウの房状でした。

 

海産プランクトンとしては、Oithona属(キクロプス目)や、ハルパクチクス目のカイアシ類では卵塊を付けた個体を見ることができます。Oithonaのはよく取れちゃいますけど。

 淡水産のカラヌス目では卵塊持った種類多いでしょうか?

 

本件、もう少し勉強して、いつか加筆します!

日本甲殻類学会

日本甲殻類学会第 57 回大会 in 東京海洋大学

( 2019年10月19日~20日

に参加してまいりました。

 

今年もすごーく勉強になりました。

本学会、3年連続出席してます。

 

来年は沖縄だそうです(懇親会で言っていました)

頑張って、来年も参加したいです。

 

csj-annual-meeting.webnode.jp

カラノイデス・フィリピネンシス【暖海性カラヌス科カイアシ類⑥】

 

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Calanoides philippinensis Kitou & Tanaka, 1969(成体メス、PL:2.13 mm)です。スケールバー=1 mm。

 

東シナ海の動物プランクトン分析をしていると、3~4年に1個体くらいコペポダイト幼体(たぶん第5期)をみることはありますが、成体を見たのは初めてです。

頭部先端がキールになっていて特徴的。

 

『日本産海洋プランクトン検索図説』(1997)以外でみたことないなぁと思っていたら、『日本海プランクトン図鑑』(1966)よりも後に記載された種なのですね。記載論文持っていないので、メモっておきます。

 

Calanoides属は6種が知られているようなので(WoRMS)、本種の特徴を調べてあとで加筆します。なお、Nob!!の修論では、Calanoides acutus (Giesbrecht, 1902)とC. carinatus (Krøyer, 1849)の2種が出現していたので、本属には結構愛着があります(Saito & Kubota, 1995)。

 

 

 

<記載論文>

Kitou, M. & O. Tanaka, 1969. Note on a species of Calanoides (Copepoda; Calanoida) from the Western North Pacific. Oceanogrl Mag. 21: 67–81.(未収集)

特集:プランクトン群集における共生・寄生『海洋と生物,243号』【文献】

忘れないように目次を書いときます。

 

 

☆特集【プランクトン群集における共生・寄生 -宿主個体群動態にインパクトを与える重要な一要因-】『海洋と生物,243号(2019/08)』

 

[目次]

プランクトン群集における共生・寄生-宿主個体群動態にインパクトを与える重要な一要因-(大塚攻/広島大学,鈴木紀毅/東北大学,片野俊也/東京海洋大学

■ 珪藻ウイルス研究のこれまでとこれから(外丸裕司/水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所)

■ 珪藻に対する寄生生物(片野俊也・山崎大輔/東京海洋大学,安東祐太朗/東京海洋大学・北海道立総合研究機構,櫻井久惠/LIMACINA)

■ フェオダリア類・放散虫類の生態と共生生物(仲村康秀/国立科学博物館,鈴木紀毅/東北大学

■ 浮遊性および遊泳性甲殻類に寄生するアミヤドリムシ科等脚類(下村通誉/京都大学,大塚攻/広島大学西川淳/東海大学

■ クラゲ類と他動物との多様な共生関係(近藤裕介/広島大学

■ サルパ・ウミタル類に捕食寄生するサフィリナ科カイアシ類の生態(高橋一生/東京大学

■ ゼラチン質動物プランクトンと共生する浮遊性甲殻類-十脚類幼生とクラゲノミ類での事例研究-(若林香織・杉浦宏樹・飯沼誼朗/広島大学

■ 海洋動物プランクトン群集における共生(大塚攻/広島大学

 

特に下村ほかはNob!のどストライクです。和名もいっぱい提唱されています。例のサクラエビ寄生性種Holophryxus fusiformis Shiino, 1937には、「サクラノエボシ」というみやびな和名が付けられました。

https://nobnob.hatenablog.jp/entry/36186438

 

 

これから拝読いたします。