雌の育房が見事です！ まさに太鼓っぱら！！ 横から見た姿はなんか滑稽ですよね。この愛らしさがたまらないウオノエの魅力なんです（Nob!!だけか！？）
エラヌシ属は世界から29種が知られ（Bruce & Schotte, 2013）、このうち下記の6種が日本から記録されています（齋藤ほか, 2000；Yamauchi, 2009）：
１.トビウオヤドリムシMothocya katoi Nunomura, 1992
宿主：ツマリトビウオParexocoetus brachypterus brachypterus
２.シンカイエラヌシMothocya komatsui Yamauchi, 2009
宿主：不明
３.Mothocya melanosticta (Schioedte & Meinert, 1884)
宿主：ツマリトビウオ
４.Mothocya parvostis Bruce, 1986
宿主：ブリSeriola quinqueradiataの幼魚“モジャコ”およびHyporhamphus sajori
５.サヨリヤドリムシMothocya sajori Bruce, 1986
宿主：サヨリHyporhamphus sajori
6.トヤマウオノエMothocya toyamaensis Nunomura, 1993
宿主：不明
このようにオキザヨリからの記録は日本にはないので、このウオノエがなんという種であるか、興味津々です。
Bruce（1986）は18新種を加えたエラヌシ属25種について、レビゥーしています。検討は成熟雌について行われており、おもに体型で区別され、腹肢と尾肢の形態も重視されています。第1・第2触角、口器や胸肢からは種差があまりないそうです。
オキザヨリを宿主として報告するエラヌシ属には、以下の5種が知られています（Bruce, 1986）：
Mothocya collettei Bruce, 1986 (Indo-West Pacific)
Mothocya longicopa Bruce, 1986 (Gulf of Guinea, Atlantic)
Mothocya panamica Bruce, 1986 (Pacific Panama)
Mothocya renardi (Bleeker, 1857) (South-eastern Africa)
Mothocya xenobranchia Bruce, 1986 (Venezuela; Frolida, USA)。
この辺の種類から当たりをつけて検討していきます。
また、日本には宿主不明の2種（トヤマウオノエとシンカイエラヌシ）がいますので、これらとの比較も行う必要があります。（この2種はBruce（1986）以降に記載された種類ですので、検討は当然ですが）
Bruce（1986）はエラヌシ属のみならず、ウオノエ科等脚類のバイブルですので、この機会にしっかり勉強したいと思います！！
＜引用文献＞
Bruce, N. L. 1986. Revision of the isopod crustacean genus Mothocya Costa, in Hope, 1851 (Cymothoidae: Flabellifera), parasitic on marine fishes. Journal of Natural History 20: 1089-1192.
Bruce, Niel L. & Schotte, M. 2013. Mothocya Hope, 1851. In: Schotte, M.; Boyko, C.B; Bruce, N.L.; Poore, G.C.B.; Taiti, S. & Wilson, G.D.F. (Eds), World Marine, Freshwater and Terrestrial Isopod Crustaceans database. Accessed through: World Register of Marine Species at http://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=118416 on 2013-09-16.
齋藤暢宏・伊谷 行・布村 昇．2000．日本産等脚目甲殻類目録（予報）．富山市科学文化センター研報, 23: 11–107.
Yamauchi, T. 2009. Deep-sea cymothoid isopods (Crustacea: Isopoda: Cymothoidae) of Pacific coast of northern Honshu, Japan. In: T. Fujita (Ed.), Deep-sea Fauna and Pollutants off Pacific Coast of Northern Japan. National Museum of Nature and Science Monogrpah 39: 467-481.
（齋藤ほか（2000）以外はweb上にアップされています）
