サッパヤドリムシ

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FB友のM女史からサッパSardinella zunasi (Bleeker, 1854)の頭部についていた寄生虫をいただきました。

 サッパヤドリムシAnilocra clupei Williams & Williams,1986と思います。和名「サッパヤドリムシ」は原記載論文中で命名されているそうです。

 
釣獲されたサッパ25尾くらい中、2尾についていたそうです。(寄生率8%!)
 これ、ずっと見てみたかったウオノエなんですよ。感謝々々!!
 

という話を職場でしていたら、社内の釣りキチH君が、「あんなのいっぱいいますよ」と教えてくれました(あの言い方がなぁ、、、かるくイラつく!)。

 まぁ、いいですよ、はじめてみる生き物にはいつでも心ときめくものです。
 
H氏いわく、寄生率は10%程度とのこと。氏はサッパ狙いの釣りせず、アジやコハダ狙いの外道として釣れるそうです。これらの漁期は秋から冬。
 
H君の言うように、サッパヤドリムシでググってみると、けっこういろんなサイトがヒットします(約 391 件)。画像みるだけでも、けっこうおなかいっぱいです。

 ですが、学術的には、原記載(Williams & Williams,1986)以降正式な記録はないのだとか。学問がフィールド情報を反映できていないようです。(しかも雄は未知!)

 
なお、本種の報告地は、松島(タイプ産地)と瀬戸内海だそうで、沖縄のサッパには寄生が見られないとのこと(山内ほか, 2004)。
 
『なぎさ通信(22)』(齊當, 2007)に紹介されるサッパヤドリムシはエガトイド幼体のようです。Saitoほか(2014)のAegathoid of Anilocra sp.によく似ます。
 以前、小三郎Jrさんから、大量のウオノギンカ属Anilocraのエガトイド幼体をいただいたのですが、サッパヤドリムシの幼体だったのかもしれません。
 幼体に種の特徴があるかどうかは、追って調べていきたいと思います。(あるいはY博士がやられているかも? あとで聞いてみます。)
 
 
<参考文献>
齊當史恵.2007.なぎさの小さなサカナ便り,番外編:魚の背中はマイホーム.なぎさ通信:葛西臨海水族園 周辺の海から,222.(https://www.tokyo-zoo.net/zoo/kasai/nagisa/pdf/nagisa_tsushin_22.pdf

Saito, N., Yamauchi, T., Ariyama, H., & Hoshino, O.  2014. Descriptions and ecological notes of free-swimming forms of cymothoidisopods (Crustacea: Peracarida) collected in two waters of Japan.  Crustacean Research, 43: 1-16.

*Williams, E. H. & Bunkley-Williams, L.  1986.  The first Anilocraand Pleopodias isopods (Crustacea:Cymothoidae) parasitic on Japanese fishes, with three new species. Proceedingsof the Biological Society of Washington 99 (4): 647-657.

山内健生・大塚 攻・仲達宣人.2004.瀬戸内海のウオノエ科魚類寄生虫広島大学大学院生物圏科学研究科瀬戸内圏フィールド科学教育研究センター報告,11-9
*未収集文献
 
採集者からのコメント:
こんばんは。お返事遅くなり、すみません!
日付けは、2015.9.23 。場所は本牧。サッパは、25匹くらい釣れてそのうちの2匹に寄生。宿主のサイズは、全長14cm。釣り方は、サビキです。
ブログ掲載okです。実名でも良いですよ〜笑。よろしくお願いします。