ブリの寄生虫

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先日、知人のOさんから、「Nob!!さんの好きそうなものが、ブリ稚魚についていましたよ。見たいでしょ」と4匹の魚体を見せてもらいました。悔しいことにど真ん中で、すっかりしてやられました。


 4匹のブリ稚魚には、計9個体のウオジラミ幼体がついていました。これらは糸で宿主とつながっていることから、カリムス期と思われます(この辺は勉強してから加筆します)


 ウオジラミはかなり前から興味のあるグループなのですが、未だ手付かずです(と何度も言っているかもですが)。幸いに広大の長澤先生のチームが精力的に研究されています(すでに追いつけませぬ・悲)。先生等の発表したウオジラミ目録(長澤ほか, 2010)によれば、ブリにつくのはモジャコウオジラミCaligus lalandei Barnard, 1947(体表寄生性)、ヤマグチウオジラミC. seriolae Yamaguti, 1936(鰓・鰓蓋内面寄生性)とブリウオジラミC. spinosus Yamaguti, 1939(口腔・鰓寄生性)とのこと。今回の個体はいずれも幼体のため、種同定できませんが、寄生部位からモジャコウオジラミの可能性が高いように思います。なお、本種に関しては、Hoほか(2001)という報告があるようです。この論文持っていないので、いつか入手して勉強します。


 ブリといえば出世魚。関東ではモジャコ(稚魚)→ワカシ(35cm以下)→イナダ(35-60cm)→ワラサ(60-80cm)→ブリ(80cm以上)と名前を変えるようですが、地域により名前やサイズ区分のバリエーションが異なるようです。今回の魚体は28.634.5mmでした(単位に注意!)。
 


<参考文献>
Ho J.-S., Nagasawa K., Kim I.H., & Ogawa K.  2001. Occurrence of Caligus lalandeiBarnard, 1948 (Copepoda, Siphonostomatoida) on Amberjacks (Seriola spp.) in the Western North Pacific(Animal Diversity andEvolution).  Zoological science, 18(3):423-431.
長澤和也・上野大輔・Tang Danny2010.日本産魚類に寄生するウオジラミ属カイアシ類の目録(1927-2010).日本生物地理學會會報,65103-122