ホウネンエビ(続・田んぼのエビ:その1)

イメージ 1

 ホウネンエビBranchinellites (Branchinellites) kugenumaensis (Ishikawa, 1895)です。
 体長測るのわすれました。だいたい1.5cmです。
 漢字で書くと「豊年蝦」。江戸時代に書かれた図鑑、「蟲譜」(尾張藩 吉田高憲著)には、「ヤブシタギンギャウ」という名前で紹介されているそうです。
 本種が大量に発生した年は豊作になるといわれています。

 昨日ジュニアと採ってきました(↓)。
http://blogs.yahoo.co.jp/yevicanidaisuki/18479805.html

 見てきた田んぼはどの区画もカブトエビが大量に生息していて、ホウネンエビがみられたのはわずか2区画のみでした。
 10数年ぶりの田んぼめぐりでしたが、普通ホウネンエビの方が多く、カブトエビのいる区画はモザイク状というのが一般的のように思っていたのですが、こういう場所もあるのですね(微笑)。

 ホウネンエビカブトエビ、カイエビを「大型鰓脚類」といい、生態はよく似ています。耐久卵で土の中ですごし、水田に水が入れられると、ノープリウスとして発生します。
 一気に土中の卵が発生するのではなく、時間差で孵化するのだそうです。一次的な降雨に反応して全部の卵が孵化してしまうと、水溜まりの乾燥とともに全滅してしまうからだそうです。高校の時KI先生に教わりました。

●主な掲載図鑑等;
上野益三[原色動物大図鑑(検法, 1961, p.141, pl.70, No.1.
上野益三[新日本動物図鑑(中)], 1965, p.439, No.360 .
上野益三[日本淡水生物学], 1973, p.406, fig.20-25, 20-25, 1-2.
西村三郎[学研生物図鑑水生動物], 1981, p.90, 307.
武田正倫[原色甲殻類検索図鑑], 1982, p.254, No.779.

 上記の図鑑ではBranchinella属とされていますが、最近ではBranchinellites属とする見解が出されています。


 ところで、いっしょにカブトエビも採ったのですが、こいつらかなり獰猛で、あっというまにホウネンエビを捉えて食べていました。こんなのが大量にいたら、ホウネンエビはいなくなっちゃいますね。



 写真、つぎはぎですが... 見てみたかったオスの頭部の触角と鹿角様の付属器を撮れたので、取り敢えずNob!!は満足です。(本当は仰向きで泳ぐのですが、他の種類との比較のため背を上に撮影しました)




[参考文献]
1)長縄秀俊.2001.現世の「大型鰓脚類」の分類.陸水学雑誌,62:75-86.
2)長縄秀俊・タチヤナ オルギリヤノワ.2001.東アジアの大型鰓脚甲殻類, 2:ホウネンエビ目.海洋と生物,133:186-194.