暖海性カラヌス類⑤:ネオカラヌス・グラキリス

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 カラヌス科浮遊性カイアシ類の一種、Neocalanus gracilis (Dana, 1849)です。
 「太平洋の温帯、亜熱帯、熱帯域に広く出現。表層から中・深層」に分布します。
 体形は普通のカラヌス体形(フットボール様の左右対称な流線形)(図A)。体長はメス2.7~3.4mm、オス2.5~3.0mm。暖海域の優占種、Calanus sinicus Brodsky, 1965とほぼ同じ大きさで、形もよく似ています。
http://blogs.yahoo.co.jp/yevicanidaisuki/4566552.html

 第1触角が長くて体長をはるかに超える。第1胸肢基節前面の棘状刺毛の付け値が鉤状の突起となり(図B)、前方に突出するなどの特徴で見わけられます。この長い触角は、けっこう頑丈で、ネットサンプルでも欠損していることがあまりありません。
 また、オス・メスとも第5胸肢底節内縁に鋸歯を欠きます。

 同所的に出現する、暖海性ネオカラヌス属のNeocalanus robustior (Giesbrecht, 1888)は、サイズが大きく(メス3.8~4.5mm、オス3.1~3.6mm)、メスの生殖の形も異なります(N. gracilisは山形に突出(図C)、N. robustiorは台形に突出)。


●主な掲載図鑑等;
Calanus gracilis:
 Giesbrecht, 1892, p.90, t.1, fig.1, t.6, fig.1, t.7, fig.26, t.8, figs.2, 4, 6-8, 12, 16, 26.
 Mori [Pelagic Copepoda from neighboring waters of Japan], 1937, p.16, pl.3, fig.13, pl.4, figs.7-9.
Neocalanus gracilis:
 Tanaka [Pelagic copepods of the Izu region, systematic account, I], 1956, p.261.
 山路 勇[日本海プランクトン図鑑], 1966, p.298, pl.95, No.3.
 戸田龍樹[日本産海洋プランクトン検索図説], 1997, p.740, pl.68, no.86.