暖海性カラヌス類②:カンソカラヌス・パゥパー

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 小型のカラヌス科浮遊性カイアシ類、カンソカラヌス・パゥパーCanthocalanus pauper (Giesbrecht, 1888)です。

 体形は普通のカラヌス体形(フットボール様の左右対称な流線形)で(図A・D)、棘や突起などの特徴に乏しい種類です。
 体長はオス・メスとも1.3~1.4mm。「熱帯の表層域、日本近海では黒潮流域に分布」とされます。

 オス・メスとも第1胸肢基節前面の棘状刺毛が太く「S」字様(図C)、これが体を横にした時でもよく見れます(図B)。この棘状刺毛はほかのカラヌス類にもありますが、本種ほどぶっとくなく、刺毛状です。
 また、オス・メスとも第5胸肢底節内縁に鋸歯を欠き、左右の底節が離れていて(図E)、がに股っぽく見えます。

 カラヌス科の最小種で、同所的に出現するNannocalamus minor (Claus, 1863)よりも、ひとまわり小ぶりです。両種とも小型でまぎらわしいですが、上記第1胸肢のほか、メスの生殖節の形も一見して異なります。オスは第5胸肢の形が異なります。
暖海域の優占種、Calanus sinicus Brodsky, 1965のCIII期くらいの大きさです。
http://blogs.yahoo.co.jp/yevicanidaisuki/4566552.html


●主な掲載図鑑等;
Calanus pauper
 Mori [Pelagic Copepoda from neighboring waters of Japan], 1937, p.18, pl.6, figs.4-10.
 田中於菟彦[新日本動物図鑑(中)], 1965, p.460, No.434.
Canthocalanus pauper:
 Tanaka [Pelagic copepods of the Izu region, systematic account, I], 1956, p.260.
 山路 勇[日本海プランクトン図鑑], 1966, p.297, pl.95, No.1.
 戸田龍樹[日本産海洋プランクトン検索図説], 1997, p.739, pl.65, no.83.