エビノコバン

イメージ 1

エビノコバンTachaea chinensis Thielemann, 1910です。淡水産ニセウオノエ科等脚類です。
学生のころからずっ~~っと観たかった種類です。今回機会があって、研究をされている先生の御好意で標本を分けていただきました(感激デス!! (^_^)v)。

スジエビ陸水エビ類の体表に付着する寄生生物です。
外見はヒメスナホリムシExcirolana chiltoni (Richardson, 1905)っぽく、サイズも同等(10mm内外)ですが、胸脚が全てカギヅメ状で、寄生生活に特化した形態をしているといえます。
口器もかなり特異なようです。こちらは追って観察していきます。

分布について図鑑では、「本邦各地の池沼に産する」などと記されていますが、正式な記録は少ないようです。
霞ヶ浦、東京都(皇居の内濠)、琵琶湖、福井県北潟湖からは記録があるようです。なお、タイプ産地はシャンハイで、このほかマレーシアからの報告もあるようです。

北潟湖からは2002年の夏に、福井県立藤島高等学校の牧田誠史教諭によって発見されて以来、同校の生物部によって継続的に、かつ多角的に、精力的に、本種の研究がなされています。
かなり興味深い知見が続々と報告されています。
マイナーな生物なので、今後の研究の発展が期待されます。

マイナーとはいっても、みつかれば人目を惹くようで、net検索では248サイトがヒットしました(「エビノコバン」をキーワードにgoogleで検索,2009年12月16日)



●主な掲載図鑑等;
Thielemann, 1910, p. 19, figs. 12-20 (original).
岩佐正夫[日本動物図鑑], 1957, p. 813, fig. 2344.
椎野季雄[新日本動物図鑑], 1965, p.542, no.720.
松本浩一[日本淡水生物学], 1973, p. 475, fig. 20-73(1).
布村 昇[原色検索日本海岸動物図鑑(II)], 1995, p. 221.




――  m(__)m まだまだ書きたりないので、いつか更新予定です m(__)m  ――






[参考文献]
1)仲地唯佳・清水俊樹・野上七海(福井県立藤島高等学校SSH研究クラブ生物).2009.エビノコバンTachea Chinensisに関する研究II:エビノコバンの吸血行動.97 pp.
2)武田正倫・嶋津 武・浦和茂彦・荒木 潤・倉持利明・町田昌昭.2000.皇居の内濠産エビ類および魚類から得られた寄生性甲殻類国立科学博物館専報, 35:75-78.
3)Thielemann, M. 1910. Beitrage zur Kenntnis der Isopoden fauna Ostasiens. Abhandl. math.-phys. Klass. Akad. Wiss., Suppl., 2(3): 1-110, 2 pls.