ヤリボヘラムシ

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ヤリボヘラムシSymmius caudatus Richardson, 1904です。
 
現場の人間、っていうか生物分析を生業とする我々には比較的普通にみられる種で、
なにより、形態が独得で、初めて図鑑でみた日から、もうメロメロです。
 
ですが、なんとweb情報をググってみると、29サイトしかヒットせず、画像では生物の画はヒットしませんでした(雑誌「海洋と生物」の表紙画像がヒット!・・・驚きです!!)
ちなみに学名で検索かけると、約125サイトがヒットし、画像はまったくのノーヒットでした。
 
 
底生性の甲殻類なので、実はNob!!には馴染みが薄く、この写真の標本は自分的にはかなり貴重です。
本州各地の水深10~368mの砂泥底に生息します。タイプ産地は静岡県沼津市大瀬崎。
近縁種からは、体背面が比較的滑らかで、胸節と腹節背面の正中線上に突起がなく、体長は体幅の3倍以上、第7胸脚が退化的でないことによって区別されます。
 
なお、ヤリボヘラムシ属は世界から5種が知られ、そのうち4種は日本の種類です。
 
 
○主な掲載図鑑など:
Richardson, 1904, p. 40, figs. 11-15.
Thielemann, 1910, p. 62.
Gurjanova, 1936b, p. 149, fig. 87.
岩佐正夫[日本動物図鑑改訂版], 1957, p. 811, fig. 2336.
椎野季雄[新日本動物図鑑(中)], 1965, p.548, no.745.
西村三郎[学研生物図鑑水生動物], 1981, pp.97 & 324.
武田正倫[原色甲殻類検索図鑑], 1982, p.237, no.711.
布村 昇[原色検索日本海岸動物図鑑(Ⅱ)], 1995, p. 218.
布村・下村[日本産等脚目甲殻類の分類(4)],2010, p.381.
 
 
布村 昇先生が2009年に本種について詳しい論文を出されているようですが、この論文、手許に無いので、あとで入手したいと思います。(ググっていて知りました)
 
 
 
[ 参考文献]
*布村 昇.2009.私の解剖ノート3:ヤリボヘラムシ.富山の生物,48:75-77.