魚類寄生性カイアシ類、オナモミツブムシChondracanthus zei Delaroche, 1811です。
マトウダイの鰓耙に寄生する1cm未満の小さな甲殻類です。
ヨーロッパ南西部以北の大西洋、アフリカ西岸、地中海、およびアドレア海に分布する種類ですが、日本からも知られています。
宿主はほとんどの報告がマトウダイからですが、南大西洋から1例のみミナミカガミダイからの記録があります。日本の報告もすべてマトウダイからです。
これまで日本からは、日本海側の富山県と佐渡(新潟県)から記録されていましたが、太平洋側(茨城県那珂湊と三重県南伊勢町)でも発見されたことが論文として報告されました(齋藤・山田, 2011)。
この論文で、「オナモミツブムシ」という和名が提唱されましたが、ご覧のようにこのカイアシ類が、キク科植物のオナモミの実(いわゆるヒッツキムシ)に似ていることにちなんだそうです。
(参考文献)
1. 齋藤暢宏・山田一之.2011.魚類寄生性カイアシ類Chondracanthus zei Delaroche, 1811の本邦太平洋岸初記録.日本生物地理学会会報,66:217-220.