ミジンコってなに?

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ミジンコって、水の中でピコピコとうごめくプランクトンです。彼らもれっきとした甲殻類の仲間です。

ミジンコを初めてみたのは、小学校か中学校の理科の教科書で、それ以来の大ファンです。


分類的には、枝角類(一般的なミジンコ)、カイアシ類(ケンミジンコ)、介形類(カイミジンコ)の三グループが「ミジンコ」って呼ばれていますが、それぞれ全然違う形をしています。

http://blogs.yahoo.co.jp/yevicanidaisuki/4200357.html

共通点といえば、小さくって、ゴマ粒みたいで、水中をピコピコ泳ぐといったところでしょうか? そういった観点では、カニ類のゾエア幼生なんてミジンコ何じゃないかな?
漢字では「微塵子」と書きます。サックス奏者の坂田明さんは、「木っ端みじんこのミジンコ」なんて説明しています。またある研究者は、ちゃめっぽく「美人娘」なんて当て字を考えています。英語では「water-flea」といい、水の蚤(ノミ)の意味です。


いわゆるミジンコ(枝角類)は、手のようにのびた大きな第2触角と、頭部を占める大きな複眼(実はヒトツ眼)、透明な左右二枚のサヤ様の背甲が特徴です。とてもキュートです。

世界から約450種が知られ、日本からは96種が報告されています。ほとんどが淡水(池、沼、湖)に棲む種類で、海産の種類はわずか8種のみです。

環境によって出現種類が違っているので、環境指標種としても重要です。

私が学生の頃は、プランクトンの1グループとして紹介されているミジンコについて、淡水プランクトンの専門書などから勉強しました。最近では信州大学の花里先生が、ミジンコに絞った、かなり読みやすい本をいくつも発行されています。(「ミジンコ:その生態と湖沼環境問題」、「ミジンコ先生の水環境ゼミ:生態学から環境問題を視る」、「ミジンコはすごい!」)
以前、トリビアの泉で、先生の研究室が取材され、ミジンコが大好きな人の集まった研究室と紹介されていました。

ミジンコの種類を調べる図鑑として、Nob!!は下記の書籍を紹介します。
「新日本動物図鑑(中)」(48種掲載:海産4種+淡水産44種)
「日本淡水プランクトン図鑑」(淡水産51種掲載)
「日本淡水生物学」(淡水産62種掲載)
「中国/日本 淡水産枝角類総説」(淡水産77種掲載)
「日本淡水動物プランクトン検索図説」(淡水産71種掲載)
日本海プランクトン図鑑」(海産7種掲載)
「日本産海洋プランクトン検索図説」(海産8種掲載;本邦未記録1種を含む)
「日本淡水産動植物プランクトン図鑑」(淡水産89種掲載)


また、ケンミジンコの仲間(カイアシ類)は、淡水域にもいますが、海洋中に膨大で、魚の天然餌料として重要な地位にいます。南極海イワシクジラBalaenoptera borealis Lessonなどは、カイアシ類を専門に食べ、胃の中はカイアシ類で満腹になっています。大きな種類では5mm以上もあり、これがわんさかいるもんですから、「海のお米」なんて表現する先生もいます。

カイアシ類についての詳しい解説のサイト:
http://home.hiroshima-u.ac.jp/fishlab/Dhaku/index.html

海洋プランクトンとしてのカイアシ類は、「日本産海洋プランクトン検索図説」(海産浮遊性397種掲載)で大部分の種類は調べることができます。淡水産の種類では、Nob!!は「中国/日本 淡水産橈脚類」(淡水産浮遊性119種掲載;カラヌス目20種、ソコミジンコ目50種、ケンミジンコ目49種)と「日本淡水動物プランクトン検索図説」(淡水産浮遊性127種掲載;カラヌス目22種、ケンミジンコ目50種、ソコミジンコ目55種)を併用いたします。陸産の種類(ケンミジンコは土壌中にもいるんです!)は「日本産土壌動物検索図説」(陸産7種掲載)があります。
底生性や寄生性のカイアシ類については広範囲を網羅した図鑑はなく、専門の論文を収集する必要があるでしょう。

また、こんなミジンコの仲間が、魚やほかの海産動物の体に寄生するように生活域を広げ、まったく「ミジンコ」らしからぬ生き物へと変化したグループもあります。

http://www.muse-tokai.jp/publish/umihaku/2004/v34n2p6.html

日本の寄生性カイアシ類については、「日本動物大百科第7巻:無脊椎動物」に魚類寄生性、無脊椎動物寄生性の種類数に関する記述があります。

本邦産魚類寄生性かいあし類
・Cyclopoida 4種
・Poecilostomatoida 106種
・Shiphonostomatoida 201種
   計      311種

本邦産無脊椎動物寄生性かいあし類
・Cyclopoida 17種
・Harpacticoida 8種
・Poecilostomatoida 42種
・Shiphonostomatoida 4種
・Monstrilloida 8種
   計      71種


カイアシ類も枝角類同様、かつてはプランクトンの教科書から概要を勉強していましたが、ここ最近、カイアシ類のみの普及書が2冊も発光されました!!


介形類の俗称「カイミジンコ」は「貝ミジンコ」という意味で、数ミリの小さなからだを二枚貝様の背甲に覆われています。図鑑の絵だけをみると二枚貝そのものですが、実物は殻の中からエビの様なの脚がにょきにょきっと見え隠れして、「あぁ~ カイミジンコなんだな」と納得します。

ウミホタルVargula hilgendorfii (G.W.Müller, 1890)が一番ポピュラーな種類なんじゃないかな。世界から5700種が報告され(かなり古い数字ですみません)、日本からは化石種を含め368種がリストアップされています。膨大な種類がいるのに、これらを網羅した図鑑はなく、一般人が(Nob!!を含め)種類を調べるのは不可能だと考えていいと思います。



参考文献

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