フタバヒメセミエビ

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 フタバヒメセミエビCrenarctus bicuspidatus (De Man, 1905) です。あまり図鑑などではみない種類です(Nob!!は掲載図鑑を知りません)
 このエビもKumikoさんにいただきました。Kumikoさんネタ第2弾です。



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 この標本を調べたところ、次のような特徴がありました;
●第2~第4腹節背面には明らかな正中隆起稜がない。
●第3・第4胸脚は普通の形で、不完全鉗にはならない。
●胸部腹甲の前縁は1対の大きな突起を持つ。
●第2胸脚の指節は前節よりも十分短い。

 また、フタバヒメセミエビの特徴に、第2触角末節(第4節)の前縁に5鈍歯を持つというのがあり、本標本も左側は5歯を持っていました。しかし、右側は7歯もありました。変異があるんおですね。

 この標本、左第4胸脚基部付近に大きなムラサキハダカエボシHeteralepas quadrata (Aurivillius, 1894) が付着していますが、なんか女の子がかかえるポシェットみたくないですか(笑)


 日本には13種のヒメセミエビ類がいます。図鑑「原色日本大型甲殻類図鑑(I)」(三宅, 1982)には7種が記載されていますが、「The Indo-Pacific scyllarine lobsters(インド-大平洋域のヒメセミエビ類)」で4種が追加、さらに今年の論文でさらに2種が追加報告されています。
 ちなみに、永い間ヒメセミエビ類はScyllarus 1属とされていましたが、「The Indo-Pacific scyllarine lobsters」内で14属に細分化されました。


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 また、ヒメセミエビ類のフィロゾーマ幼生はまとまって出現することが知られていて、Nob!!もかって1回の採集でフィロゾーマ幼生12個体(体長12.2~15.0mm)とニスト幼生7個体(体長9.1~10.3mm)を得たことがあります。





[参考文献]
1)Holthuis, L. B. 2002. The Indo-Pacific scyllarine lobsters (Crustacea, Decapoda, Scyllaridae). Zoosystema, 24 (3), 499-683.
2)三宅貞祥.1982.原色日本大型甲殻類図鑑(I).vii+261 pp., pls. 56.保育社,大阪.
3)齋藤暢宏.2004.駿河湾から採集されたセミエビ科(甲殻上綱,十脚目)の幼生.南紀生物,46(2):109-114.
4)関口秀夫・木村昭一・井上誠章.2009.本邦水域の初記録および希種のヒメセミエビ類4種.タクサ(日本動物分類学会誌),26:1-12.