2008年4月23日に東シナ海で採集したプランクトン試料中に、変わったメガロパが2個体入っていました。
調べてみますと、これ、アサヒガニ科のメガロパのようです。
小西・鹿谷(2000)には、「頭胸甲は縦長楕円形で、額棘は丸味のある三角形;鉗脚は成体の様な亜鋏脚ではない。第4歩脚指節は板状であり、周縁に多くの感覚毛がある。」と記されています。
「額棘は丸味のある三角形」というのは、横から見て腹側に沿っているという意味だと思います。背面から見ると先端は尖っています。
「第4歩脚」は「第4胸脚」のことで、カニ類では「第3歩脚」なのだと思います。
Raninoides benedictiというカニのメガロパの図が示されていますが、今回のメガロパによく似ています。
実は、2008年3月に鹿児島周辺で採集されたのプランクトンから、少なからずビワガニ類のゾエアが出現しているのです↓
http://blogs.yahoo.co.jp/yevicanidaisuki/11084543.html
その1ヶ月後に出現したアサヒガニ科のこのメガロパ、ビワガニ類のメガロパと考えたらロマンがあるのではないでしょうか? 2008年の春、西日本ではビワガニのベビーブームだったのでしょうか??
ビワガニLyreidus tridentatus De Haan, 1841のゾエア、メガロパについては、Williamson(1965)という報告に出ているそうです。Nob!!は持っていないので、いつか確認したいと思います。
[参考文献]
1)小西光一・鹿谷法一.2000.日本産有用カニ類幼生の検索 III:短異尾下目.養殖研報,30:39-54.
2)村岡健作・小西光一.1988.日本産十脚甲殻類幼生の文献目録/短尾類(1).海洋と生物,55:124-127.
3)Williamson, D. I. 1965. Some larval stages of three Australian crabs belonging to the families Homolidae and Ranindae, and observations on the affinities of these families (Crustacea: Decapoda). Aust. J. mar. freshw. Res., 16: 369-398.