ちりもんウオノエ(次のテーマ!!)

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このコ、シラス調査などで時折目にすることがあり、長い間気になっていました。気になりながらも放置してしまう、おくゆかしいところがNob!!のチャーム・ポイントなんです(ウィーク・ポイント?)。
 
Nob!!はこれまで、シラス混入物やチリモンとして出現するこのコを、漠然と「イワシノコバンのエガトイド幼体」と考えてきました。が、どうやら怪しいようです。
これから、このコ(大分産、体長15.3mm)を精査して、正体をつきとめようと思います。(結果は追って加筆します。一年ぐらいかけて?)
 
 
このコはチリモンとしても、けっこう普通に出現するようです。
例えば、ゆめえびさんのブログ「みて!みて!チリメンモンスター」中に、体長0.811.33mm8個体の写真が掲載されています↓↓↓
 
 
 
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写真借りちゃいました。(これ、どれくらいのジャコみたんですの?)
 
 
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2017.6.2加筆]
 
7年間放置しっぱなしでした(謝)。
 
この等脚類はウオノギンカ属Anilocraのエガトイド幼体です。

シラス混獲物“チリモン”としてよく出てきますし、集魚灯採集でもよく採れるようです(Saitoet al., 2014

 
このステージ(成長段階)の個体は、Nob!!はエガトイド幼体と呼びますが、第2腹肢に交尾針があり、厳密にはオスと区別できません。
 Williams & Williams1986)にはこの成長段階のウオノギンカ属を、未同定種のオスとして、2タイプ記載しています。これらは体長が異なっていますが、背面の黒色素の濃度にも違いがあると記されています(9 mm前後のキビナゴ寄生種は黒色素の濃度が濃く、14 mm前後のカタクチイワシ寄生種は黒色素を欠く)。
 今回の個体は、シラス混獲物でもあるため、Williams & Williams1986)によるカタクチイワシ寄生種のほうなのかもしれません。
 

ちなみにウオノギンカ属は世界から50種が知られ、このうち日本からはニザダイノギンカAnilocra prionuri Williams & Williams,1986とサッパノギンカAnilocra clupei Williams & Williams, 19862種が知られます(Williams & Williams, 1986: 山内, 2016)。

 
 
 
<引用文献>

Saito,N., Yamauchi,T., Ariyama,H., & Hoshino,O.,  2014. Descriptions and ecological notes of free-swimming forms of cymothoidisopods (Crustacea: Peracarida) collected in two waters of Japan.  Crustacean Research, 43: 1–16.

Williams, E.H. & Williams, L.B.  1986.  The first Anilocraand Pleopodias isopods (Crustacea:Cymothoidae) parasitic on Japanese fishes, with three new species. Proceedingsof the Biological Society of Washington 99(4): 647–657.

山内健生,2016.日本産魚類に寄生するウオノエ科等脚類.Cancer, 25113–119